そもそも保守管理は必要なの?
法律で必要と定められています。実務・経営面においても必要な措置となります。
法律
トラブルの防止
安全の確保
コストの削減
- 法律の順守 法律の為、保守管理体制に関する根拠となります。
- 医療機器安全は法律により規定されますが詳細な程度、頻度は明確化されておりません。
- コストの削減は施設経営的視点以外に医療費問題、保険点数に影響します。
全病院・診療所・助産所には医療機器に関する安全管理体制確保が義務づけられています
立ち入り検査の際に確認される可能性があります
医療機関には各管轄より立ち入り検査が実施されます。
管轄、頻度、内容は医療機関ごとに違います。こちらにて簡単ですが解説しています。
保守管理を行うメリットは?
事例紹介 (主なメリットは「リスク管理」「危機管理」により危険性を低減させることです)
医療機器は全ての異常を万能に検出できるものではありません
- 「アラームが鳴らない」・「エラーが表示されない」は安全の保証にはなりません。
- アラームや異常検出機能自体が破損している可能性があります。
- 医療機器の異常検出は「機器本体」・「付属品。消耗品」・「使用方法・患者の状態」が複雑に関連して行われます。
- 軽微な異常が突然大きな異常に変化することがあります。
投与誤差
薬剤の過剰投与や過少投与
予定より早く終わったなどありませんか?
パッキンの劣化等が
基盤や本体の故障へ
見えない水漏れ
薬液を取り扱う医療機器でも完全防水されているものは多くありません。
水侵入防止用のパッキンが劣化していても目には見えず内部に水がしみこみます。
基盤等が錆びて突然機能を停止したり、異常な動作をする場合があります。
また、パッキン交換で完了すればコストは大幅に削減可能になります。
温度・圧力の低下
オートクレーブは既定の温度・圧力をかけることで滅菌を行います。
劣化や故障により温度・圧力が規定値に満たない場合があります。規定値に満たない場合は滅菌が効果的に行われない可能性があります。
エラーなく完了しても問題無いと判定はできません。
リード線の破損や時計のずれ
心電図が安定しない場合はリード線の微妙な断線かもしれません。
時計がずれているとカルテ等記載の時刻とずれて有事の際に大きな問題となる事例があります。
埃によるセントラルモニタの停止
セントラルモニタの本体に埃がたまりオーバーヒートを起こしシステムが突然停止したり異常を発します。
オイル漏れによる弊害・トラブル等
手術台等は重いものを支えながら安定した動作を要求されます。例えば油圧動作部からの漏れがあると基盤の故障や突然の異常動作を引き起こします。
手術中に突然動かなくなる、突然下降するなどの可能性もあります。
普段利用することが少なく緊急性が高い機器ほど日常の管理が重要です
DC
- 使用後の電極パドルふき取り忘れなどによる錆び、劣化
- ゼリーの補充忘れ
- バッテリーの劣化
- 日時のずれ
- ECGリード線の劣化
AED
- 電極パッドの補充忘れ
- バッテリーの劣化
- 自己診断の確認
酸素漏れや火災
酸素が漏れると火災の一因となります。また、酸素自体を浪費しコストがかかります。
災害時・緊急時の対策に
設備が正しく動作しないと有事の際に被害を拡大することがあります。限られた酸素を効率的に利用したり、火災の拡大を防止するなどの対策を講じることが困難になります。
医療機器に関する管理のポイントは?
医療機器管理のポイントは沢山ありますので一部を抜粋し、ご紹介します。
いずれも立ち入り検査等で確認された事例です。
機器台帳の整備
医療機器等の対象を特定可能な状態で台帳管理する必要があります。
いつ、何を(機種や製造番号など)購入し、現状の所在と一致するかなど・・・
点検計画・履歴の管理
点検の対象と時期を適切に管理し、その実施履歴も管理します。過去の履歴などを確認できるよう管理する必要があります。また、修理履歴なども合わせて管理します。
マニュアルの整備
使用方法や禁忌・緊急時の対応などのマニュアルを整備する必要があります。また機器使用の際、すぐに見れる様に配慮が必要です。日常点検が必要な場合も同様です。
医療機器の適切使用に関する管理
施設スタッフの研修や、添付文書やマニュアルの管理、必要書類の作成など医療機器の安全使用に関する適切な管理を必要とします。
契約書(業務委託の場合)
保守管理を業務委託している場合は契約書の管理が必要となります。契約書があること自体を確認されるケースがあるようです。